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石灰窒素で来年のヒエ対策

今年は最悪のケースだと、約20cmほどの稲わらの束の中に2〜3本の稲が入っているような箇所があるほど野ヒエの猛攻にあい、収量的には3割減といった成績でした。近所のおじいちゃん達は「除草剤を撒け!!」との大声援をで応援してくれているんですけど、あの〜この田んぼ、無農薬の田んぼなんすよね。と言っても聞かない。そんな悠長な事言ってられる場合か!!

確かに仰る通りです。このままでは大変な事になります。大量のヒエが生い茂ったこの田んぼの表面にはビッシリと無数のヒエの種が落ちていました。このままでは稲作ではなくヒエ作りになりそうな勢いです。

webで色々調べてみると、お隣の富山県での石灰窒素によるヒエ対策が紹介されており、これならうちの田んぼにも使えるだろうという事で農協に相談に行きました。調べた通り無農薬栽培などではこの石灰窒素を使うのが理想なのではないかとのお返事をいただいたので購入しました。

ただ、結構値段するんですよねと担当者さんが仰る通り1袋4千円ほどで、1反歩(10a)あたり2袋使用とのこと。何と、1万6千円もの投資になってしまいました。しかし高いだの安いだの言っている場合ではないので早速購入して撒いてみることにしました。運動場のライン引きなんかに使われる消石灰と同じ石灰成分が主原料なので安全は安全なのですが、水分と反応して強アルカリになるようで皮膚の露出や目の保護は行う事や、散布日当日の晩酌は控えるようにとの注意書きが物々しいのですが、一応対策を行って散布しました。

この石灰窒素は土中の有害生物などの殺虫効果もあり、目的により様々な効果が出るようです。今回私が行うヒエの覚醒作用もバッチリ書いてありました。

石灰窒素によるヒエ対策は日本石灰窒素工業会によると

「石灰窒素の主成分シアナミドには種子の休眠を覚醒させる効果があり、種子がシアナミドに接触すると呼吸阻害を起こし、発芽を誘発するとされています。ノビエの休眠覚醒は以前から知られておりますが、最近ではカラスムギ、ネズミムギ、漏生イネにも効果が明らかになっています。
ノビエの種子は稔実したときは休眠しており、自然条件では冬を経過しなければ発芽しません。
翌年になると多発生するため、その間にノビエの種子数を削減させる必要があり、対策として石灰窒素の休眠覚醒効果が利用されています。
稲刈り後できるだけ早く石灰窒素40~50kg/10aを全面散布すると、地表に落ちているノビエの種子は休眠が覚醒して発芽し、冬の寒さで枯死します。発芽には18℃以上の平均気温が約15日続き、且つ土壌中に発芽できる水分が必要です。秋に発芽しなかった場合は、春先の田植え前に発芽します。このときにすき込めば楽に防除できます。」

とあります。

素敵じゃないですか。そして石灰窒素は最終的には中和されて春には無害無毒な肥料成分に置き換わるとの事でした。

本当は田んぼの微生物や虫などの力を借りて自然栽培を行いたいところなのですが、あのヒエを何とかしない事にはそんな悠長な事は言っていられないのが現状です。

散布に使用する機材も防除作業に使う機材なので、農薬混合率が0パーセントかと問われたら0ではないでしょうね。0.001%とかは混入する可能性はあります。ブロアによる清掃作業は行ってありますのでご容赦いただけると助かります。

そしてこの散布機がまた重いのです。

普通によいしょと持ち上げる訳にはいきそうもないので、畦の上に置いて担ぎ上げます。

それからてくてく歩きながらブオーンと散布します。

下に向けていると石灰窒素の粒が見えないので空に向かって撒いたりしてます。

周辺にある稲束は本来は切って田んぼにすき込むべきなのですが、そんな時間もないので燃やして(野焼き禁止とか言われるんですけどね)処分していました。

そしたら隣のビニールハウスで野菜を専業で作ってる仲の良い農家さんが譲ってほしいと願い出てきたので全量差し上げました。去年は富山県のしめ縄やさんに買ってもらったのですが、こんなヒエだらけの藁を売る訳にもいかず断念したのでした。

今年は秋に一旦耕転を行って稲株の熟成を行おうと考えていたのですがダメですね。ヒエ対策が優先となりました。あとは雨が降ってシアナミドでヒエさんたちが発芽するのをニヤニヤしながら見守るのみとなりました。お願い!!発芽してちょうだい!!

そして今日から待望の雨です。いよいよ自然系除草剤の活動開始です。

石灰窒素で来年のヒエ対策」への6件のフィードバック

  1. トヤマファームのジョー さんの発言:

    神奈川県足柄上郡、二宮金次郎の故郷で無農薬田圃をやってます。今年はヒエが酷く、貴兄のその後が是非に聞きたいです!頑張ってください。

    1. 悲惨でしたが後ろを振り向く暇もない日々を過ごしておりました。本日一気に書き上げます。ヒエがどんなに恐ろしいか体に染み込んだ1年でした。

  2. ヒエ対策を調べていてたどり着きました
    生わらがあると休眠覚醒効果に影響があるようで(サイトの稲わらなど残渣の影響より)燃やそうかな、どうしようかなと悩んでいます。すき込みも最初はしないほうがよい(ヒエが潜るから?)みたいですね。

    去年燃やして今年はどうですか?

    1. うちの対策は一昨年で、去年が実証年だったのですが、結果としては休眠覚醒はしていなかったようで豪快にヒエにやられて去年の収穫は諦めてハンマーナイフで叩いて終わりました。
      流石に3年目にもなってこのザマではお話にならないと言う事で山の田んぼと里の小さな田んぼを自然栽培の田んぼにして、実証田は飼料米の田んぼにして除草剤によりヒエ対策を行いました。
      あれだけタチの悪い田んぼになると自然栽培は苦しいかもしれません。
      年々酷くなってゆきましたしね。今年の春も豪快に全面緑に染め上げられて呆然としましたが、除草剤を撒いたら鎮静化しました。
      呆気ないほど静かなので何だかなぁといった感じです。
      石灰窒素は種に作用するので秋耕起はせずに種の覚醒を待つようですので耕起は春までお預けになります。
      どうか良い結果になりますように!!

  3. イノウエ タカシ さんの発言:

    お疲れ様です。
    今年ヒエの大群にやられました。
    通年ヒエは、水口部分やその近い箇所には有りましたが、今年はその比では無く収穫も激減でした。
    色々と調べ 石灰窒素 を知り収穫後から少し時間が経過しましたが散布しました。
    只、秋起と併用して行いました。
    昨日時点で一面、圃場が緑一色です。これが覚醒状態でしょうか?初めての経験なので判りかねてます。秋起をしたのも良かったのか?です。
    経過について情報があれば教授下さい。

    1. 私も悲惨なヒエ田んぼになりました。一度慣行に戻して徹底的にヒエ対策してから自然栽培に戻そうかとか色々考えています。1反歩で3袋とかそれは稲作なのか?とか苦笑いしか出てきません。石灰窒素は稲刈り直後の暖かい時期にやるといいみたいですね。私の時も一面緑になりましたが、どうもヒエではなかったようで翌年はヒエが倍増しました。
      通常落ちた種の覚醒を狙うので耕起はしないようですが、どうなんでしょうね。結果は来年の初夏に分かりますね。楽しみです。
      自然栽培、本当に難しいと思う今日この頃です。
      石灰窒素を撒いた田んぼは年々ヒエの被害が酷くなり、去年で見切りをつけて今年は慣行栽培でヒエを叩いています。
      でも結局発芽させていないだけで田んぼの中には種が残っているので難しいところですね。
      その田んぼは一旦見切りをつけてはいるのですが、一番生かしたい田んぼも酷いので困っています。
      悩ましい感じですよ。

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