さて、この田んぼなのですが、ヒエは多少見えるものの、私の田んぼの中では最も美しい状態の田んぼでした。この地域は私たちの田んぼより上には人家が一軒もなく、本当に自然栽培には適した場所です。
そこで収穫するお米は迷わずハザ干しでしょ!!という事で運搬車やバインダーを運んで収穫作業です。
田んぼの端はとても深くて手刈りになりそうだとお客さんの女将さんに連絡すると駆けつけてくれて手刈りで刈ってくれました。
リアル女神様でしたよ。本当にありがとう。
バインダーや手刈りで刈った稲束は、どんどんハザにかけてゆきます。掛け終わったらあとは天気が続くように祈るだけなのですが、ここからが長かったですね。脱穀しようかどうか悩んでいるうちに台風の直撃を受けて全てのハザが倒伏しました。朝一番にこの風景はキツイですね。
それから更に乾燥期間を10日ほど延長してハザにかけてから20日後にいよいよ
良さそうな色合いになってきました。
さぁ、水分はどうでしょう!!
米粒はとても綺麗です。
さぁさぁ水分計にかけてみましょう。
え〜〜〜っとですね。一体これはどういう事でしょうか?
20日間も干してこれってどういう状況だと判断すれば宜しいのでしょうかね。
しばし腕を組んで思案してから脱穀を決定しました。
ハーベスタート運搬車を用意して
グオングオンと脱穀しました。途中雨がパラついてきましたが無視して脱穀を強行です。
もう後ろを振り向いている余裕はないのです。
幸い本降りになる前には脱穀を終えることが出来ました。メデタシめでたし。
で、水分過多な籾を乾燥所に運び込んで火を入れずに風を当ててみるが、一晩たっても1%ほどしか落ちないので火入れを決意。
1時間半火入れして15.6%まで落ちたので乾燥完了。
籾摺りを行なって玄米に。
太左ェ門本社に運び込み
出荷までの待機に入ります。
ハザ干ししたお米以外はコンバインでの刈り取りを行いました。
去年格安で買っておいたコンバインもデビューです。
OEM先の日立からクボタに里帰りした外装です。銘板もARN222なので完全にクボタになりました。
トラックに積んで
山のたんぼへ
この田んぼもヒエが凄かったのですが、余りにヒエの勢いが酷くて稲が実っていない部分は刈り倒しました。
残りは草刈機で半日かけて先端部分を稲の高さに揃えてからの稲刈りになりました。
何と言いますか、ARN222君。快適の一言です。
あっと言うまに山の田んぼの生き残った田んぼ2枚を刈り取ってしまいました。
無理に3条刈りにしていないのでパワーが無駄なく伝達されている感じがします。
山から降りて里の田んぼを刈り取って
お米に
このお米は悲劇のお米になってしまったんですよね。
この里の田んぼもヒエが多く(こっちのは細くて短いやつです)
苦労しながら刈り取って、乾燥を近所のおじいちゃんに任せたのですが、
おじいちゃんちょっと記憶の回路がズレてしまい、翌日に自分の田んぼや刈り取りを任されている人の田んぼの米を混ぜてしまいました。私のはノトヒカリ。おじいちゃんのはコシヒカリ。一緒に乾燥機に入れたのに「何で勝手に人の乾燥機に米入れるんだ!!」と怒られて泣きたくなりました。
典型的な痴呆症の初期症状じゃないか……
大好きな爺ちゃんが本当にボケ始めたのがショックで本当に泣きました。米なんてどうでもいい。混じり米なら自分で食べれば済む事だ。いっつも私を支えてくれていた爺ちゃんが遠くへ行こうとしている。悲しくて切なくて田んぼの真ん中で一人で泣いてました。
爺ちゃんにはとっさに「あれ?そうだったっけ?」と答えておきましたけど。
これまた痴呆症の初期症状で周り近所に「あいつ勝手に乾燥機に米入れてったんだ」と吹聴してあるいていたので「俺はそんな事はしないけどね」と軽く訂正しておきました。
そしてヒエが酷すぎて捨てる覚悟をしたコシヒカリの田んぼもコンバインで刈り取ってみる事にしました。
半分ほど刈り取ったところで稲束が詰まったので取り除くと
うぎゃー!!サイドチェーン切れてる!!
ってんでJAに即電話してパーツをオーダー。
3日で入荷して修理。
ダメな部分はサンダーでカットして、新しいコマに交換
こんな感じね。
テンショナー効いてるとしんどいので紐で縛って作業。
割りピンで止めて完了。
良かった良かったと籾摺り作業を行なって過ごしていたんですけど、何だか玄米に大量の籾が混じって仕方ない。
その量が尋常ではなくなり、色彩選別機でも選別不能な状況になってしまったのでJAにヘルプ要請。
何だか
バラバラになってます。
ここに装着されていたスクリューの根元のカバーを使う際には開けなければいけないのを閉めたままだったため、籾殻がガチガチに固まってどうにもならない状態になっていたようです。
ベアリングは燃え落ちて無くなっていました。
籾摺りもできなくなり、モミの貯蔵タンクも一杯になってしまったので自然栽培で育てていたひゃくまん穀の収穫を行うことにしました。
ハマるは稲は刈ってくれないは。水の残る深い田んぼでは無力の2条刈りのクボタ君でした。
全面手刈りかなぁと作業
気が遠くなるねぇと思いながら作業してた。
翌朝。
またもやお客様の女将さんが通りかかりハザ掛けを手伝ってくれた。
ワラ欲しいから頂戴ねと彼女は言い残し去っていった。
ありがとね〜〜。
それでも残った3/4の田んぼ。
翌日、別業務で町を離れ、翌朝起きてみたら
全部刈り取ってあった!!!!
農業仲間の区長が刈ってくれていた。
1日丸々かかったぞ!!と笑う区長。
本当にありがとう!!とお酒を2升持っていったら凄く喜んでくれた。
ありがとう区長!!
そして現在。
胴のベルトが死にかけていて5mに一度は詰まってしまうポンコツと化したER335で稲刈ってます。
このER335はヒエなどの雑草にやられてこぎ胴のベルトが逝ってしまったのですが、ベルトが来ないので騙し騙し動かしているんですが、ダメです。とにかくダメ。
くっそーって顔になってしまいます。
こんな綺麗な田んぼでもダメ。
今日も30分で終わる見込みの田んぼで3時間費やしました。
ぐおーん
もういっちょ!!と思った途端ダウン。
ガサゴソと胴を開けたり閉めたり稲取り出したり。
もうダメ。耐えれない。明日は鉄工所行ってベルト買ってこよう。
残った田んぼは4反歩(内2反歩は捨て)
何だか田んぼ多くない?と気がついた読者さんは凄い。
実は山の田んぼから降りてくるタイミングで里の田んぼの親方が「今後は全てお前に任せる」と3.5町歩の田んぼをいきなり投げてきたのでした。
その殆どがヒエまみれの悲惨な田んぼばかり。
お前の親方はダメだから今後はお前が作付けしろと今日も言いに来た方がおいでた。
分かりましたと言うしかない状況なんだけど。
親方に最後に華を持たせてあげられなかったのが残念で仕方ない。
来年は自然栽培や有機栽培の田んぼをどれにするか悩みどころです。
全体としてはカメムシの予防はしない予定です。慣行栽培の田んぼも春の除草剤だけの使用にとどめようと考えています。
そうすると安価に安全なお米を提供出来るかなと期待しています。
自然栽培は1番の山なのかなと思っています。
その昔、友人がボロボロの田んぼの前で力なく笑っていた姿を思い出します。
友人は本当に強いと思います。
3町歩の田んぼをたった一人で自然栽培でやるなんて超人の域です。
私は作付け面積が予想だにしない勢いで増えてしまったので作戦を練り直さないとダメなようです。
ロシアの暴君の影響で飼料米の作付けも推奨されているようなので、そちらも少し取り組んでみようかと思います。
ダラダラと書きましたが10月31日。もう冬の声が届き始めた日の日記です。